大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和27(あ)2509 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を広島高等裁判所岡山支部に差し戻す。

理 由

広島高等検察庁岡山支部検察官野尻収の上告趣意(受理の申立)について。

第一審裁判所は、被告人Aは法定の除外事由がないのに昭和二五年八月頃から同

二六年一月中旬頃まで十二回に亘り政府の免許を受けないものが製造した焼酎等を

B外四名に譲渡し、被告人Cは右同様法定の除外事由がないのに昭和二五年一一月

頃から同二六年一月末頃まで十七回に亘り政府の免許を受けないものが製造した焼

酎等をD外三名に譲渡したという事実を認定し、被告人両名の右各所為に対し、酒

税法五三条、六二条等を夫々適用処断していることは、第一審判決の明示するとこ

ろである。ところが、原審は職権を以つて調査したうえ、第一審判決が被告人等の

右各所為に対し酒税法五三条を適用しているが、同条が禁止するのは「所持シ又ハ

譲受クルコト」であるから第一審判決は少くとも罪となるべき事実の摘示と法令の

適用との間にくいちがいがあるから、理由にくいちがいがあるに帰すると判断し、

控訴の趣意に対する判断を省略して、第一審判決を破棄し、本件を岡山地方裁判所

津山支部に差し戻すとの判決を宣告した。しかしながら、本件犯行時及び第一審に

おける裁判時に適用のあつた旧酒税法(昭和二八年二月二八日法律六号による改正

前のもの)五三条は、昭和二四年四月三〇日法律四三号(酒税法等の一部を改正す

る法律)による改正後の規定であつて、その内容は「本法ニ於テ認ムル場合ノ外免

許ヲ受ケザル者ノ製造シタル酒類、酒母、醪又ハ麹ハ之ヲ所持シ、譲渡シ又ハ譲受

クルコトヲ得ズ」というのである。即ち、同条は酒類等の所持及び譲受の行為のみ

ならず譲渡の行為をも禁ずる規定であつて、原判決が特に説示している如き所持及

び譲受の行為のみを禁ずる規定ではない。従つて、原判決が第一審判決の理由にく

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いちがいがあるとして、第一審判決を破棄し、本件を岡山地方裁判所津山支部に差

し戻したのは、畢竟法令を誤解したものというの外なく本件上告受理の申立は理由

あり、原判決は刑訴四一四条三九七条により破棄を免れない。

よつて、全裁判官一致の意見により同法四一三条を適用し主文のとおり判決する。

検察官 福原忠男関与

昭和二八年一二月一一日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

裁判官栗山茂は差し支えにつき署名押印することができない。

裁判長裁判官 霜 山 精 一

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